第5章 白ひげクルーとの日常 1日目
『マルコへパイナップルの差し入れ』
「………は」
「あー、それ俺が書いた奴だ」
「なんてこと書いてくれちゃってるんですかハルタさーん?!」
さらりとのたまったハルタの肩をがくがく揺さぶる。
あっはっは、と朗らかに笑いながらハルタは水琴の肩を叩いた。
「大丈夫大丈夫。水琴なら笑って許してくれるって」
「どう考えても死亡フラグです、本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た」
「どういたしまして」
「違います!」
明らかに今回のゲーム最悪の罰ゲームにクルーたちの憐みの視線が集まる。
「可哀想に…水琴、生きて帰ってこいよ」
「骨は拾ってやる……」
「……一緒に行きません?」
「「「「やだ」」」」
ちくしょう!
「じゃ、いってらっしゃーい」
ご丁寧に用意されていたパイナップル(しかもリボン付き)を手に肩を落としてマルコの部屋へ向かう。
ちらりと廊下の隅を見れば様子を窺うハルタたち。
観念して水琴はドアをノックした。
「開いてるよい」
いなければいいのに、という水琴の気持ちを裏切り、中から目的の人物の声がする。
「お、お疲れさまでーす…」
「水琴かよい。どうした」
「いえ、あの、その…」
「なんで泣きそうなんだよい」
机に向かって書類仕事をしていたマルコが様子のおかしい水琴を見つめる。
「ごめんなさい…」
「何がだよい」
「あの、これ…差し入れです」
勇気を振り絞り、後ろからパイナップルを取り出す。
「………」
「………」
しばらく空気が固まる。
ばぁぁあああん!!!
「手前ェら、何やってんだよい!!!」
「あーーっはっはっはっは!」
「ハルタァァアアア!!!お前の仕業かよいこの野郎がぁぁああ!!」
「うわーーーん!!ごめんなさいごめんなさい!!」
しばらく大富豪は中止になりました。