第47章 亡国
ドラム島を目指し始めて数刻。
ナミ抜きで夜の航海は危険だと、錨を下ろしメリー号は停止する。
一時はどうなるかと思ったが、目指す島があるというだけでクルーたちの心は少し軽くなっていた。
しかしやはり心配は心配で、いつもなら男部屋で寝るルフィ達も全員がナミの休む部屋に雑魚寝している。
扉からその様子を覗き、水琴はくすりと微笑む。
そして用意しておいた水差しを交換した。
水差しには少しだが異世界の民の血が混ぜられている。
本来なら万能薬となる血だが、ナミの病気を完治させるためにどれだけ摂取させればいいのか分からない水琴は少しずつ水へと混ぜていた。
効くまで与えれば良いと思うが、そうできるだけこの血について水琴自身も知っているわけではない。
百年に一度異世界と繋がる泉のある島で見た、異世界の民の血肉で壊れた不死者達を思い出す。
万能薬と言われている異世界の民の血も、決して万能ではない。
禁忌の力は、必ず破滅と紙一重なのだ。
せめて、少しでもナミの状態が楽になるようにと水琴は願った。