第46章 いざ、ドラム島へ
「もう、無事に帰り着くだけじゃダメなんだ…」
くしゃり、と新聞が歪む。
「一刻も早くアラバスタへ着かないと…百万人の民が、犠牲に…!」
「百万人もいるのか人が!」
「なんて重いものを背負ってるんだ、ビビちゃん…」
あまりの規模に言葉をなくすクルー達。
「それ、三日前の新聞。ごめんね、教えてもすぐにアラバスタへ着けるわけじゃないから、心配させるのもどうかと思って…」
事態は分かった?ルフィとナミが船長を見上げる。
「なんとなく、やべーってことは伝わった」
「思った以上に伝わってくれて嬉しいわ」
そのまま立ち上がり甲板へ出ようとするナミを水琴が抑える。
「水琴…?」
「事態は分かった。でも、だからこそナミは寝てて」
「でも、針路を…」
あくまで自分のことではなくビビのことを考えようとするナミ。
優しいな、と思いながらもここは譲れないと水琴もまっすぐナミを見る。
「これ以上悪化したらどうするの?それこそ大変な時ナミが動けなかったらこの船はおしまいだよ」
だから、今は寝てて。と強く言えばナミは観念してベッドに横たわった。
「針路なら私達が見てるから。今は早く良くなることを考えて」
「……ありがと、水琴」
無理をしていたのだろう、ぐったりとナミの身体はベッドに沈み込む。
ゾロの様子を見てこようと水琴はベッドを離れた。
「…待って、水琴」
出ていこうとする水琴をナミが呼び止める。
「さっき、空気がおかしかった…もしかしたら、天候が変わるかも」
「分かった。様子見てくるね」
「おい、お湯出来たぞ水琴!」
ウソップがお湯の入った容器とタオルを持ってくる。
「ビビ、ナミの汗拭いて上げて。男達はみんな出る!」
そう声を掛け、水琴は甲板へ上がった。