第45章 Mr.0
いまだ狩り勝負のことを言い合うゾロとサンジを無理やり黙らせ、荷物を積む。
メリー号は再び大海原へと流れ出た。
「ねぇ、あれ!」
水琴の指差す先に、先程会った二人が立っているのが見える。
「おっさん達見送りに来てくれたのか!」
喜ぶルフィの方は向かず、ドリーとブロギーはまっすぐ沖の方を見つめている。
「この島に立ち寄った海賊が無事に島を出ることが出来ない最大の理由がこれ」
「友よ。我らを信じてまっすぐ進め。何があろうと、まっすぐだ」
「…あぁ、分かった」
二人の気迫に、ルフィは神妙に頷く。
穏やかな海が、突如せり上がった。
「これ……」
「巨大金魚ォ?!…待てよ、どっかで聞いた覚えがあるような」
それあなたのホラですから。
メリー号の航路を塞ぐように現れた“島食い”はあんぐりと大きな口を開け獲物が飛び込んでくるのを待っている。
「ルフィ!このままじゃ食べられちゃう!さっさと進路を変えないと!」
「駄目だ!このまままっすぐだ!そうだろルフィ?!」
慌てるナミの言葉を震えながらも否定しまっすぐだと叫ぶウソップ。
「あぁもちろん!まっすぐだ!」
「嘘でしょう…?!」
「諦めろナミ。どっち道もう間にあわねェ」
暗くなる視界。
食べられた、と思った時巨大な風が一瞬水琴の横を通り過ぎた。
「「覇国ッ!!」」
ザバァ!!と視界が開け、海が割れる。
ドリーとブロギーの放った技はメリー号を呑みこんだ島食いの身体を貫き、海を割いた。
「すごい……」
「これが…海の戦士…!」
「「さぁ行け友よ!」」
壊れた武器を掲げ、道を示す二人に見送られ、メリー号はまっすぐに進む。
アラバスタへ。