第45章 Mr.0
「ところで、ナミさんとウソップは?」
二人の姿が見えないことにサンジも首を傾げた。
「それが、船室で寝てる間に二人ともどこかに行っちゃって…」
「船を降りたのか?声を掛けないでなんて珍しいな…」
確かにサンジの言う通りだ。
もしも船から降りるのなら、水琴に一声掛けてもおかしくない。
それが何もなく消えたのは、掛ける必要がない位短時間離れるつもりだったのか、掛ける暇もないくらい切羽詰まった状態だったのか…
「…なんだか嫌な予感がする」
「水琴ちゃん。俺は少しこの近くを捜してみる。入れ違いになるとまずいから、ちょっと待っててくれ」
「分かった」
サンジの提案に頷く。再びジャングルへ消えていくサンジの背を見送り、水琴は甲板の手摺に寄り掛かり周囲を探る。
やはり二人の姿は見えない。
「どこ行ったんだろう…」
しばらく待つこと十数分。
突如地面が揺れ、遠くで大きな爆発音がした。
驚いて顔を上げれば煙が立ち上っていくのが見える。
「あれ…噴火?」
そう言えば寝ている間も船が揺れていたような気がする。
地震大国で生まれ育った水琴にとってそれ位の揺れは日常茶飯事と気にせず眠っていたが、あの時も噴火していたのだろうか。
「噴火……」
何か引っかかる。
きっと道筋に大きく関わることなのだろう。思い出そうとするが、するたび記憶は霞んでいく。