第45章 Mr.0
「………ん」
薄らと目を開ける。
どうやら大分眠り込んでしまったらしい。
軽く伸びをし、体をほぐす。
「…ナミとウソップはまだ甲板かな?」
船内はやけに静かだ。二人とも外に居るんだろうか。
様子を窺おうと水琴は甲板に出る。
「あれ?」
そこには誰もいなかった。
念のため見張り台も覗くがどちらの影も見えない。
あんなに上陸を怖がっていたのに、島へ降りたんだろうか?
首を捻っているとジャングルの中から何か重いものを引きずる音が聞こえてきた。
それは段々とメリー号へ近づいてくる。
「な、何……?」
まさか、敵襲だろうかと水琴は身構える。
怖いが、今メリー号にいるのは水琴ただ一人。
大事なこの船を置いて逃げるわけにはいかない、といつでも能力を発動できるようじっと音の先を見つめる。
「水琴ちゅわ~ん!ただ今戻りました!」
がさり、と現れたのはサンジだった。
安堵から力が抜ける。
「サンジ、お帰り」
「あなたの為に極上の獲物を狩ってきました」
引きずる音はそれだったか。
サンジの後ろにはかなり大型の恐竜が横たわっていた。
どう考えても丸腰の人間一人で狩れる大きさではない。
改めて思う。
この船の人間は規格外だ。