第43章 麦わらとの出逢い
「「「すげーーー!!!」」」
「ドアドアの実ってやつらしいな。適用範囲は本物と違ってこの船くらいのもんだが、おもしれェのなんのって」
何回か試したのだろう。実験の成果を得意げに語る。
「へーおもしれェな。で、これはどこに繋がってんだ?」
興味深そうにエースがドアをくぐる。
ばしゃーーーん!!!
「風呂場に繋げてみた」
「エースゥゥゥウウ??!!」
モビーご自慢の風呂に見事に突っ込み沈んだエースを慌てて数人が引っ張り上げた。
「サッチ…てめェ先に言えよ」
「きゃーエースちゃん顔こわーい」
「ふざけんなリーゼント!」
ぽたぽたと水を滴らせながらエースがサッチを追いかける。
それから器用に逃げつつ、サッチは次々とドアを作りエースをからかう。
いつものモビーのそんな日常に、警笛が突如割って入った。
「海王類が出たぞーー!!」
目をやれば、いつの間にいたのか、マストまで届くような巨体がギョロリと殺気立った目でモビーを見下ろしていた。
「水琴、お前は船内にいろ」
すぐさま迎撃態勢に入ったエース達にこくりと頷き、水琴はドアへと走った。
海王類一匹なら、甲板にいたメンバーで何とかなるだろう。
ずぶ濡れになったエースが少し心配だったが、それ位でやられるようなら二番隊隊長なんて名乗ってはいない。
少し揺れる通路を転ばないように足早に通り過ぎる。
「ひゃあっ?!」
ちょうど階段に差し掛かった時だった。
ぐらりと一際大きく船が揺れ、足が滑る。
咄嗟に手摺に掴まろうと手を伸ばした先には、サッチが作ったのだろう半開きになったままのドア。
ノブのないそれに掴まれるはずもなく。
「ひ___っ!」
小さな悲鳴と共に、水琴の姿はドアの向こうへと消えた。