第43章 麦わらとの出逢い
「ちゅうもーーく!!」
新世界のどこかの海。
ゆったりと航海を続けていたモビーディック号にサッチの声が響いた。
思い思いに時間を潰していたクルーの何人かがその声にわらわらと顔を出す。
「サッチ隊長、どうしたんすか」
「これを見ろ!何だと思う?」
人込みの中心でじゃーんと取りだしたのは不思議な文様の入った果物。
「……悪魔の実?」
なんだか見覚えのあるシルエットに水琴がまさか、と呟く。
せいかーい!とサッチが水琴を指差し手に入れた経緯を語った。
「前の島で偶然手に入れてよ。本物とはまた違うんだが、一日だけ悪魔の実の能力が使えるんだとよ」
まぁ能力も不完全なんだけどな、とのサッチの言葉にそんな物があるのかと周りから驚きの声が上がる。
「それで、それはどんな能力なんだ?」
能力者ということで中身が気になるのか、エースが果物をじろじろと見つめる。
「見た目じゃ分からねェな…ちょっと食ってみろよ」
「実はもう食った!」
くるりと実を反転させればそこには齧った跡。
「コック生命が終わるかと思ったぜ…」
「あァ味悲惨だもんな。で、どうなったんだ?」
見てろよ~?とわきわきと両手を動かしたサッチは空間にゆっくりと円を描く。
見えるはずのない線が空中に描かれるのをその場にいる全員が目撃した。
がちゃり。
区切られた空間をサッチが押す。
するとそこにはあるはずのないドアが出現した。