第4章 お勉強しましょ
不思議な少女だと思う。
突然海賊なんて物騒な奴らの中に放りこまれながら、怖がる素振りも見せない。
最初は海賊を知らないのかと思ったが、話を聞いているとそうでもないらしい。
それでも、水琴は屈託のない笑顔を見せる。
その無防備な笑顔に最初は戸惑った。
海賊の自分には向けられることのない、まっすぐな感情。
エースと同じ位だろうに子どものように純粋で、悪く言えば世間知らず。
いつか傷つかないかと不安になる。
まぁ、エースが常に目を光らせているのでそんな心配は杞憂だと思うが。
最初は戸惑ったイレギュラーな存在だが。
「…まァ、適当に頑張れよい」
「はいっ!」
少し彼女のいる日常が面白いと感じているのも事実で。
ちょっとばかり気に掛けてやろう、と思っているのは心の奥にしまっておく。
***
「水琴」
「あ、マルコさんおはようございます。…これって?」
「絵本。読むならこれ位からが丁度いいよい」
「うわ、マルコが絵本とか!似あわねェ!!」
「エース、お前はしばかれてェのかよい」
「…わざわざ買ってくださったんですか?」
「本屋に用があっただけだよい」
「…ありがとうございます」
ふわり、と笑う。
最初はむず痒かった笑顔。
今は少しだけ、心地良い。