第41章 誓い
日は変わって船長室。
今回の件を一通り説明し、水琴は黙って白ひげの前に立つ。
その背に最初の日の勢いはない。
「__あのよ、親父。あれは不可抗力で、もしなんもなければ水琴だけの力で十分」
水琴を擁護しようとするエースの口を横に並ぶマルコが塞ぐ。
今は黙っとけ、とマルコに囁かれエースは不承不承ながら口を閉じた。
「言い訳はしません。不測の事態も含め、私だけの力で解決しなければいけない問題でした」
エースの力を借りたことに後悔はない。
そうしなければ、今の水琴だけの力ではあのように無事に解決とはいかなかっただろう。
約束は約束だ。今回は諦める。
けれど、これだけは伝えたかった。
「__親父さんは、覚悟が分からないうちは止めておけと言いました」
あの日の宴の席。水琴に向けられた厳しい言葉。
何を差し置いても、それが一番水琴には我慢がならなかった。
強い眼差しで白ひげを見上げる。意地でも涙は見せるもんかと目頭に力を込めた。
「私がこの世界を選んだ時に、何も覚悟しなかったと思いますか」
覚悟なんて、とっくにしている。
あの、冷たく暗い井戸を見下ろして。
暗闇に一歩踏み出す時に、私は決めたのだ。