第41章 誓い
「………」
土砂で埋まってしまった跡を黙って見つめる。
この土砂をすべて掘り返すのに良く見積もって同日数の二日。
恐らく水源に達するにはもっと掘らなければならないだろう。
今の地震の被害が麓の町に出ていないかの調査も必要だ。人出はそんなに割けない。
「ゲームオーバーかぁ……」
覚悟はしていたが、残念な気持ちは消えない。
勝負に負けてしまったことよりも、島民に元の生活を取り戻してあげられないことがただ悔やまれた。
____ぴし
水琴の耳に微かな音が響く。
同時に水琴のちょうど前方でぼこぼこと土が盛り上がり始めた。
それは段々と勢いをつけ、とうとうはじけ頭上へと高く上る。
きらきらと太陽の光を反射し噴き上げるのは恵みの柱。
「___うそ」
「湧いた!温泉だぞ!」
「やった!やったぞ!」
降り注ぐ温かな湯に島民は歓声を上げる。
どうやら先程の地震とエースの一発がトドメとなり無事に湯脈まで到達したらしい。
水を通さない粘土質の地層に遮られていたせいで圧力を増した湯は、降り積もった土砂にも負けず天高く噴き上げたのだった。
「やったな、おい!」
呆然と見上げる水琴の背をエースが力強く叩く。
その痛みで水琴はようやくこれが現実だと認識した。
一拍遅れて喜びが胸中を満たす。
「ううん、私だけの力じゃないよ、エースのおかげだよ!エースが……」
喜びに手を取り合いそこまで言うと、あることに気付き水琴は笑みを硬直させた。
「……エースの、おかげで…」
__その代わり他のクルーの力は借りません。
「……借りちゃったね」
「……あー……」
島民たちの喜びの声が響く中、二人の間に冷たい風が吹いた。