第41章 誓い
「!!」
縦に大きく揺れ立っていられず膝をつく。
その場に蹲るのが精一杯だった。
「大丈夫か!」
「頭を守れ!」
しばらくして揺れが収まり水琴は恐る恐る視線を上げた。
設置されていた滑車は倒れ道具は散乱し酷い様子だが、幸い誰も怪我は無かったようだ。
「平気か?」
「うん、ありがとう」
エースに手を取られ水琴も何とか立ち上がる。
あのような大きな地震は日本でもなかなか味わったことがなかったが、どうにか無事でよかった。
___ズ、
ズズ_____
吹き抜ける風が不吉な音を運んでくる。
と、地響きのような震えが足元から這い上がってきた。
まさか、と水琴は先程頭を過ぎった最悪のシナリオを思い出し声を張り上げる。
「みなさん!一か所に集まって木に___!」
皆まで言う前に視界に巨大な岩が迫る。
勢いをつけ転がり落ちてくる巨石は風で押し止めるには質量が大きすぎる。
それでももしあれが誰かに当たればただでは済まない。
水琴は解決の道筋が分からないまま、それでも彼らの前に立った。
「突風___っ」
風を生み出し進路をずらそうと手を振る前に、前方に影が躍り出る。
その背に浮かぶのは”誇り”
「火拳ッ!!」
巨大な炎の拳が巨石を包み粉々に砕く。
破片は左右に別れ散っていった。
誰にもぶつからなかったことに安堵するも、それだけで終わらないことを水琴は知っている。
見上げれば土砂はすぐ近くまで迫っていた。
考えている暇も躊躇している時間もなかった。