第41章 誓い
山の中腹に集まったのは土木作業を得意とする島民と水琴。
そしてその様子をそっと見守るようにエースが木に寄りかかっていた。
「おそらくこの下だと思います。これ以上は専門外なので詳しいことは分かりませんが…」
「いや、十分だ。あとは私たちに任せてくれ」
屈強な男たちが話し合いながら作業を進めていく。
水琴も手伝いたいが地面を掘るのに風は適さない。純粋な肉体労働となると問題外だ。
せめて邪魔にはならないようにと、水琴は端に寄りながらお茶を配ったりタオルを渡したりと補助に回った。
そうして作業を続けること二日。
さすが手慣れたもので、穴は断層に沿うように横に広がりをみせ、地層の断面が露わになってきた。
深さも人の背丈を優に越え、等間隔に滑車を設置しそれで土をくみ出すことで効率的に作業を進められるようになった。
本来なら井戸を掘るように円柱状に掘っていけばいいと思うが、断層のどの辺りに湯脈が走っているか分からないため通常より範囲を広く掘り進めていた。
おかげで手間はかかるが、湧きだした水源を麓まで引くことも考えれば完全な無駄にはならないだろう。
順調に進む作業だが少し前から進みに陰りが見え始める。
代表と作業の中心者たちが話している内容から、どうやら固い地層に当たったらしい。
「人の手じゃとてもじゃないが掘れないんで、今爆薬を用意させてるところだ」
「爆薬…それって危険なんじゃ?」
「火薬の量は調整してある。距離を取っていれば大丈夫だ」
準備ができるまで小休止とし、昼過ぎに爆破の準備に入る。