第41章 誓い
三日目。
エースはモビーディックの甲板で部下たちと装備の点検をしていた。
確認したところから項目にチェックを入れていく。他の報告書と違って誤字の心配がないためこの作業は気楽だった。
「エース」
「なんだよマルコ。サボっちゃいねェぞ別に」
「誰もそんなこと言ってねぇだろうが。……様子はどうだよい」
様子というのが点検のことでないのは表情から明らかだ。
普段通り振舞っているつもりだろうが、そわそわと落ち着きない様子にかなり心配していることが窺え、マルコも人のこと言えねェよな、と独りごちる。
「今日も探してるんだろい。見つかりそうなのか断層は」
「おれ今日は当番だから知らねェんだよな。朝早くから張り切って出てってたけど」
昨日能力の使いすぎでふらふらになった水琴はさすがに効率が悪いと思ったのか早々にモビーに戻り休息を取り、今朝早く出て行った。
今もまだ風を飛ばしているだろう。
「もうすぐ点検も終わるから様子見に行くつもりだけど一緒に行くか?」
「いや、俺は遠慮しておく。あんまり構うとそれはそれで怒るだろい」
「あー、言えてる」
子どもじゃないんだからそんなに構うなと拗ねる様子がありありと浮かぶ。
マルコはマルコなりに隣に立ちたいと意気込む水琴の想いを尊重しているらしい。
だが、それと心配するかしないかは話は別だ。