第41章 誓い
「__あ、えっと、見てよこれ!フルーツ食べる?」
「もらう」
動揺を隠すようことさら明るくフルーツを勧める。
普段の方が露出は高いというのに、シチュエーションが違うと言うだけでこんなにも威力が違うものか。
改めて”二人でお泊まり”を意識してしまい一度は落ち着いた動揺がじわじわと戻ってきた。
「何がいい?色々あるけど……あ、取り皿」
「いらねェよ別に」
「え?でもよそわないと食べづらいんじゃ…」
「これでいい」
リンゴを盛ろうとしていた腕を取られぐいと引かれる。
フォークの先に刺さったリンゴはしゃくりと音を立てエースの口に収まった。
「………」
「お、うめェなコレ」
しゃくしゃくと脳天気な音を響かせながら咀嚼しごくんと飲み込んだ。
喉仏が大きく動く。
「もう一個くれよ」
「……この、天然タラシ…っ」
「?」
「ご自分でどうぞ!」
フォークをそのまま押し付け水琴はベッドに潜り込む。
大きな手に握られた手首が熱い。
同じように火照る頬を冷ますように、水琴は冷たいシーツに顔を押し付けた。
「………」
数分後。
ぴくりとも動かなくなったベッドの膨らみにそっと近寄り覗き込む。
見れば水琴はそれはもう穏やかな顔をして眠っていた。
「おめでたいやつ……」
すやすやと眠る水琴を見下ろしエースはため息を吐く。
いつかのように夜中飛び出していくかもと無理矢理泊まったものの、こんな簡単に気を許していいものなのか。
乙女心が分かってないと言うが、水琴の方こそ男心が分かっていない。
「どこで寝るかな……」
いくら何でも同じ部屋で寝られるわけが無い。
幸いにもこの島の季節は夏島の秋。野営にはもってこいだ。
たまには星を見ながら眠るのもいいかとエースは窓を開けた。