第41章 誓い
「そちらの彼氏さんもご一緒に」
「はァ?」
「なっ、かかか彼氏?!」
「え、違うんですか?」
爆弾発言をかました女性はぱちくりと大きな目を瞬かせる。
動揺で早くなる鼓動を必死に誤魔化しながら水琴はぶんぶんと首を振った。
「彼はただの船の仲間で!なので一緒の部屋は困るというか彼は先にかえ__んぶっ」
「あーいいっていいって。せっかく用意してくれたんだし泊ってこうぜ」
背後から口を塞がれ目を白黒とさせているうちにちゃっかり鍵を受け取り先に行ってしまう。
鍵を取られては水琴はエースを追うしかない。否定するのもそこそこに女性に対して一礼すると慌てて水琴はエースの背を追った。
「ちょっと!部屋を貸してもらったのは私なんだから鍵返してよ!」
「二人でどうぞって言ってたろ」
「それは私たちが付き合ってると勘違いしていたからで…あぁもうエースは船に帰ってよ」
「やだよ、もう遅ェし。腹減ったし眠ィ」
くわ、と生あくびをかみ殺す様子は本当に眠いのだろう。
対する水琴も朝からずっと動きっぱなしのため疲れは最高潮に達している。
__しかし、だからといって、これは。
「………エースは乙女心が分かってない!」
「だっておれオトメじゃねェし」
「揚げ足取らない!いい?普通男女が二人だけで一泊するっていうのはそれ相当の親密な関係であることが前提であるわけでそうでない場合は色々周囲から余計な詮索とか生暖かい目で見られたりもするわけで特にナースのお姉さんたちは本当この手の噂に敏感で一度ばれたら根掘り葉掘り本当にしつこく」
「あー分かった分かった。その話はまた今度聞いてやるからとりあえず飯食おうぜ」
絶対聞く気ないなこいつ。