第41章 誓い
「水琴、落ち着いてものを考えろ。そんな簡単に涸れた温泉が元に戻るわけ…」
「いいだろう、やってみろ」
「親父?!」
「ただし期限は決めさせてもらう。ここに滞在する一週間の内に温泉を復活させることが出来たら好きにしやがれ」
「分かりました」
失礼しました、と出ていく水琴の後ろ姿を見送り、マルコは白ひげを怪訝な顔で見上げる。
「……物資の補給だけで発つんじゃなかったのかよい」
「数日やそこらそんなに変わらねェ。他の奴らにも伝えとけ」
手は貸すんじゃねェぞ、と念押すとマルコは諦めたように溜息を吐き退出する。
マルコの仕事は早い。一時間もすれば各隊に周知されていることだろう。
「__いい顔をしやがる…」
いつの間にか成長していた愛娘に目元を緩ませ、白ひげは深く椅子にもたれた。
***
期限は一週間。
その場で却下されなかっただけでも僥倖だ。
与えられた時間を最大限活用するため水琴は早速問題の温泉を訪ねていた。
本来は立ち入り禁止だが代表の名を告げればすんなり通された。その弱り切った表情から島民もだいぶ堪えているのだろうことが窺われ、水琴も自分のことのように心を痛める。
彼らのためにも早く問題を突き止め解決してやらねばならない。益々やる気をにじませた水琴は温泉に足を踏み入れる。
「うーん……」
水位は僅か。素足になった水琴のくるぶしがようやく浸るくらいの状態に水琴は眉を寄せる。