第41章 誓い
「なぁエース、何とかしてくれよ~」
「なにが」
甲板で気持ちよさそうに昼寝していたエースは情けない声で懇願するクルーを欠伸混じりに見上げた。
そこにいたのは二番隊の部下たちだ。天下の白ひげクルーが揃いも揃って泣き言を言っている理由が分からずエースは首を傾げる。
「親父と水琴の仲取り持ってやってくれよ!もうお前しかいないんだって」
「あれ、あの二人喧嘩してんのか?」
「お前気付いてなかったのか?この前の宴からずーっとあの調子なんだよ」
「喧嘩するようなことあったか?」
「そういやお前寝てたっけ」
件のやり取りの際いつもの如く睡魔に負け、料理に突っ伏していたのを思い出したクルーは喧嘩の理由を軽く説明した。
「あーなるほど。それで水琴機嫌が悪かったのか」
他のクルーに対してはいつも通り接するものの、白ひげが目に入れば途端に黙り込んでしまうのを見てエースも気にはなっていた。
あれは喧嘩だったのか、とエースは初めて気が付く。
それというのもエースにとっての喧嘩は真正面からの殴り合いが常だったため、こんな静かな喧嘩の仕方があるとは頭の片隅にもなかったのだ。
「心配しなくても、そのうちどっちかが折れるんじゃねェの」
「俺達もそう思ったけど、今回に限ってどっちも頑固なんだよなぁ」
「水琴はあんな調子だし、親父は親父で自分からは近付こうとしないし」
どちらの言い分も理解できるためクルーも片一方に味方することも出来ず、どうにか収めようとも着地点が定まらない。
そのためこの奇妙な親子喧嘩は拗れに拗れ既に三日が経過しようとしていた。