第3章 初めての島
「身体が炎なんて、怖いよな」
「……エースさん」
少し目を見開き驚いた様子だったが、水琴は特に動揺することもなくふわりと微笑んだ。
「私、エースさんの事怖いなんて思ったことありませんよ」
そりゃあ、逃げる時はびっくりしましたし、ずっと悲鳴あげっぱなしでしたけど、と気恥ずかしそうに続ける。
「エースさんの炎、綺麗だなって思いました」
綺麗、という言葉に驚く。
今まで一度も、そんな風に言われたことはなかった。
「……綺麗?」
「はい。力強くて、なんだか気高くて、エースさんみたいで」
エースさんにぴったりですよ!と拳を握る。
「なんだか、エースさんって太陽みたいです」
「__おれが、太陽?」
「いつも皆さんの輪の中心にいて、温かくって…太陽みたいに、内側から光って見えて」
私にとって、ヒーローで、太陽ですよ!と宣言され動揺する。
そんな風に言われることなんて今まで無かった。
子どもの頃は鬼の子、悪魔の子と後ろ指差され。
海に出れば火拳だと恐れられ。
ヒーローだなんて、自分には全く無縁のものだと思っていたのに。
水琴は軽々とそう言い切った。
「あの、エースさん…?」
「ん。あァ、いや…」
どう反応していいか、困る。
がしがしと頭をかき、ぽすんと水琴の頭を撫でる。
「……ありがとな」
照れくさくて少しぶっきらぼうな言い方になってしまったが、水琴は嬉しそうに笑う。
なんでそんな風に笑うのか、よく分からないが。
満面の笑みを見て、水琴の方が太陽のようだとエースは頭の片隅でぼんやりと思った。