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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第39章 力の重さ






 目の前で瓶が甲高い音を立てて弾け飛ぶ。

 狙い通りに転がる瓶の数々に水琴はよし!と拳を握った。


 「見てよこれ、百発百中!」
 「腕上げたねー」


 見物していたハルタは得意げに胸を逸らす水琴に称賛の拍手を送る。

 「今なら射的余裕で勝てる自信あるよ」
 「じゃあまた今度勝負する?」
 「いいよ。でもお祭りなんてやってるかなぁ…」

 航海士の人達が話していたのを盗み聞いた話だと、次の島はあまり大きくないらしい。

 「集落がぽつぽつあるだけでほとんどが未開のジャングルって話だけど」
 「じゃあサバイバル対決とかは?」
 「絶対ハルタ有利じゃん!それにどうやって勝敗決めるの?」
 「どれだけ大きな獲物を狩れたか」
 「却下!」

 即座に切り捨てれば冗談だよ、と気の抜けた笑い声と共に返事が返る。
 冗談と言うが、もし水琴が同じように冗談で乗っていたら本当に実行しようとしていただろう。
 冗談とも本気とも取れるハルタの言動に振り回されたのは一度や二度ではない。

 少し警戒する目付きでハルタから距離を取れば、何もしないから出ておいでー、と指を鳴らされた。

 私は小動物か。


 「ハルタ、水琴。こんなとこに居たのか、もう着くらしいぜェ」

 ゆらりといつもの着流し姿で現れたイゾウは何故か距離を取り向かい合う二人を交互に眺める。

 「……相撲でも取ろうってのか」
 「あ、それも面白そう」
 「違う!ハルタ、ハウス!」
 「はうす?」
 「部屋に戻る!」
 「いや、もう着くから甲板に来い」
 「水琴ってたまに面白い言葉使うよねー」

 埒が明かないと思ったのか、ケラケラと笑うハルタの首根っこを掴みイゾウが引きずっていく。

 「いい加減にしないとマルコに怒鳴られるぞ。水琴も早く来な」
 「はーい」

 さすがに怒鳴られるのは勘弁だ。瓶を片付け、水琴は前を行くイゾウの背中を追った。


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