第38章 特訓!カゼカゼの実
「ねぇ、エースは火銃って技使うでしょ?どうやって狙ってるの?銃なんて使えたっけ?」
「………」
てっきり“為せば成る!”とかすぐさま返答が返ってくるかと思った水琴は意外にも考え込むエースにおやと首を傾げる。
様子を窺っていればエースは床に転がっていた空き瓶を手に取った。
「__水琴さ、これ倒してみろよ」
「?」
エースの手の上に乗せられた瓶は目の前だ。
もっと近くから練習しろということだろうか。
不思議に思いながらも風を生もうと集中すればエースはすぐさま否定するように瓶を左右に振った。
「違ェ。普通に手でいいんだって」
「え、手?」
それこそ意図が分からないで眉を顰めればいいからと促される。
腑に落ちないながらも水琴は言うとおりに手を伸ばし瓶を突いて倒した。
「はい。これでいいの?」
「ん」
エースはもう一度瓶を立てて目の前に差し出す。
「んじゃあもう一回やってみ」
「…ねぇ、これ何の意味が」
「いいから」
なかなか返らない答えに不満は募るものの言うとおりにもう一度手を伸ばす。
「ストップ」
今度は瓶を倒す直前で制止が掛かり水琴は手を止めた。
「何?」
「水琴、今何考えてた?」
「考えてたって…特に何も」
「じゃあどうしようとしてた?」
「どうって…瓶を倒そうとしてたんでしょ」
エースが言ったのだ。それ以外答えようがない。
水琴の答えにエースは一つ頷いて持っていた瓶を振った。
「そうだよな。腕を伸ばして、手首をこう返して…なんていちいち考えてねェよな」
「何が言いたいの?」
「弓の使い方なんて知ってる必要ねェってこと」
必要なのは“どうなってほしいか”のイメージだけだ。