第38章 特訓!カゼカゼの実
もっとイメージを強くするよう、ひたすら矢をイメージして集中する。
そして空き瓶に向けて射るように放った。
カァンッ!
しかし狙いは逸れ、二つの空き瓶が弾かれるように飛んでいった。
「あーあ…」
やはりそう簡単にはいかないらしい。溜息を吐き空き瓶をセットし直すため駆け寄る。
転がる瓶を手に取るとその後ろについた傷に気付いた。
まるでドリルで穴をあけたようなそれは僅かに壁に跡を残している。
先程までの練習ではなかった傷だ。明らかに今の矢風がつけたものだと思えた。
いけるかもしれない。
そう思えば現金なもので、手ごたえに水琴は先程までの疲れも忘れ再び狙いを定めるため距離を取る。
じっと空き瓶を見据え、集中する。
カァン!
カンッ!!
ガッ!!
「~~~~~っ!!!!」
僅かに逸れるそれらにダンダンと足を踏み鳴らす。
きっと本物の矢を持っていたら何本かへし折っていた。
「荒れてんなァ」
久しぶりに聞こえる自分以外の声に水琴は空を見上げる。
「そりゃ荒れたくもなるよ。全然うまくいかないんだもん!」
八つ当たり混じりにそう返せばエースは肩をすくめた。
「でもちょっとは前進してんじゃねェの?他の瓶倒れてねェじゃん。
あとは狙うだけだろ?」
「そうだけど、それが難しいの!大体私弓なんて使ったことないんだから狙いとか分かんないし…」
「弓ねェ……」
項垂れる水琴の横に下りてきたエースは横に放られていた本を手に取り眺める。