第38章 特訓!カゼカゼの実
課題は大きく分けて二つ。
一つは発動時の集中力の向上。
もう一つは技の精度の向上。
集中力の向上は分かる。周囲の状況に惑わされずに発動できるようになればひとまず水琴の心配事である驚いた時の暴走はだいぶ緩和されるだろう。
しかし問題はもう一つの方だ。
「技の精度って言われてもなぁ…」
そもそも技といわれても困る。
エースのような“火拳”や“炎上網”といったような技らしい技を持っていない水琴にはピンとこない課題だった。
能力を得てからたまに風になり空を飛んだり小さな風を起こしてみたりはあるが、そもそも能力を使う頻度自体少ないのだ。
マルコはそのことも問題として指摘していた。
__まずは己が風であることに慣れろ。息をするように能力を使えるようになれ。
そうして出された課題は5m先の狙った空き瓶を風で倒すという課題。
これが意外に難しい。
倒すだけなら風をぶつければ簡単だが、狙った空き瓶以外を倒してはならないとなると風を小さくコントロールしその空き瓶だけにぶつけなければならないことになる。