第38章 特訓!カゼカゼの実
「でもじゃあどうすればいいの?」
「方法はいくつかある。まず一つ目。感情が大きく振れなければ問題はねェんだから、むやみやたらに驚かないようにする」
「…出来ると思う?」
「無理だろうな。二つ目…こっちが本題だな。身体に驚いた時の適切な反応を教え込ませる」
「……うん?」
意味が分からず首を傾げる。
「どういうこと?」
「水琴、お前思いがけず熱湯とか触った時はどんな反応する?」
「どんなって……たぶん、すぐ手を引っ込めるんじゃないかな」
「だろい。それは身体を守ろうとする防衛反射だ。頭で考えてたら間に合わないような無意識の反射のことだな。
ボールが飛んで来れば目を瞑る。転びそうになれば手を出す。お前の風の暴走もこの防衛反射と同じようなもんだよい」
「つまり」
「転びそうになった時手を出す以外にも受け身を取ることができるな。それは意識的な防衛だ。
それが無意識にできるようになれば風の暴走も制御できるようになるだろい。
お前はまず受け身の取り方を覚える必要がある。そしてそれをいつでも出来るようにしろい。
手を出すよりも先に受け身を取ろうとするように、身体に覚えさせなきゃいけねェ」
「なんとなく言っている意味は分かったけど、それってすごく難しいんじゃ?」
「そうだな。だからエースの言ってることもあながち間違っちゃいねェ」
感覚で掴めるまで特訓だな。
こうして水琴のカゼカゼの実修行が始まった。