第38章 特訓!カゼカゼの実
今日すでに何度か挑戦したがどうしても周囲の空き瓶も一緒に吹き飛ばしてしまい、煮詰まった水琴は気晴らしに町へと降りていた。
今日立ち寄っている島は白ひげの領土のため一人でぶらついていても特に問題はない。
久しぶりの一人の時間に水琴はぶらぶらと大通りを歩く。
ふと大きな書店に目が止まった。そういえばとある作家の新作が欲しかったのだと立ち寄る。
ついでになにか特訓のヒントになるようなものがないかと店内を見て回った。
「あ、この人の新作も出てる。面白いんだよねー」
気が付けば手には数冊の本が積まれている。
思わぬ収穫に水琴はヒントを探すことも忘れ夢中になって本を漁っていた。
「……あ」
航海士の一人に勧められた初心者向けの航海術の本を探していた時、目に飛び込んできた題名に水琴は彷徨わせていた手を止めた。
目線より少し高い位置にあるその本の題名は“自然の名称辞典”
名前に惹かれて中身を見れば、様々な自然現象をカテゴリ毎に分類しており、それぞれの名称を紹介する辞典のようだった。
例えば雨の項目を見れば“五月雨”“春時雨”などというように、季節や降り方によって様々な言い方がある。
この世界でいえばワノ国のような場所にしかそういった文化はないと思っていたが、よく考えれば言語は万国共通である。こういった言葉の辞典があっても不思議ではない。
「あ、風の項目がある」
パラパラとめくっていた水琴は風という単語に手を止めた。
雨は有名だが風にも色々と種類があるようだ。並ぶ名称にこんなにあったのか、と感心する。
「…そういえば、エースもルフィも技名ってあるよね」
漫画脳だったのであまり気にしていなかったが、やはり名前があった方が技もイメージしやすい気がする。
「___よしっ!」
会計待ちの本の天辺にその辞典を乗せ、水琴はレジへと向かった。