第38章 特訓!カゼカゼの実
「自然系は“己そのものが自然物へと変化する”。超人系や動物系のように異能力が付与されるんじゃねェ。
お前自身が自然そのものになっちまうんだよい」
「自然そのもの…?」
「エースが服を暑苦しいと着たがらねェのは知ってんな?」
この船に乗ってからよく見る光景に水琴は素直に頷く。
「それはあいつが“火”そのものだからだ。炎の身体は常にエネルギーを発しているから普通の人間より体感温度が高いんだろ。…まァあいつの場合は性格的なものもあるが」
「暑い暑いって言ってる割には夏島の夏でもへっちゃらだもんね」
「あれは逆に炎だから堪えないんだろうなァ」
寒暖の差に弱い水琴としては羨ましい限りだ。
「つまり、自然物そのものであるからこそ精神の動きがダイレクトに影響しちまうわけだ。
人間怒れば頭に血が上って赤くなるし悲しければ涙を流す。その反応の代わりに能力が発動してると思えばいい」
「じゃあ私のも?」
「通常とは異なる感情の揺れに反応してるんだろうな」
「…その割には反応が大きすぎない?」
「それだけビビりなんだろい」
否定できないことが悲しい。
しかしなんとなく原因は分かった。