第37章 空と海の境界で風は踊る
「サッチ、エースが壊れた…」
「心配しないでいーよ水琴ちゃん。こいつ元からこういう奴だから」
「失礼なこと言ってんじゃねーぞサッチ」
「ほんと、なんなの?」
「お前には敵わねえってことだよい」
よく分かっていない水琴の頭をマルコがポンポンと叩く。エースが見れば意味ありげな視線を返された。マルコには全てを見透かされているようで気まずい。
「それはそうと明日には出航するぞ。今のうちに陸楽しんで来いよい」
マルコの言葉にエースと水琴は目を見合わせる。
「……それじゃあ」
「行くか、水琴!」
同時に手摺に手を掛け、先ほどのように飛び出す。
生まれるのは風と炎
「まったく、人騒がせな末っ子どもだよい」
「なんだかんだで楽しんでるんだろ?マルコ」
「…お前もだろい」
残された年長組はやれやれと肩を竦め、船内へと戻って行った。
翌日、モビーディックは新たな冒険へ出向する。