第35章 悪魔の実
ドサリと地に伏せるエースに水琴は目を見開く。
じっとしたまま動かないエースとじわじわと広がっていく血だまりに、水琴は自分の立場も忘れ叫んだ。
「エース!いや、目を覚まして!!」
必死の叫びにもエースは動かない。
「おい、連れていけ」
「いや、いやだ!!エース!!!」
暴れる水琴にもびくともせず、男たちは船へ向かう。
遠ざかっていくエースの姿を見ながら、水琴は苛立ちを隠せなかった。
自分に力があれば、こんなことにはならなかったのに。
自分が捕まらなければ、こんな奴らにエースがやられることなんてなかった。
自分が。
自分が弱いから。