第33章 海を愛する者
「ん、なんだよいエース。ストライカーなんて持ち出しやがって」
「あ、マルコ!ちょっくら島の周り水琴と回ってくるな!」
途中マルコに出会い、簡単に説明するときらきらした目の水琴とエースを交互に見てマルコは溜息を吐いた。
「まったく、あんま遅くなるんじゃねぇよい」
「分かってるって。それじゃ、またあとでな!」
「ありがとマルコ!行ってきます!」
「まったく、元気な連中だよい…」
「マルコ隊長、ちょっとご報告が…」
ばたばたと去っていく末っ子組を苦笑して見送るマルコに、クルーの一人が声を掛けた。
「なんだよい?」
「それが、近くに別の海賊団が接近しているようで…」
「どんな海賊旗だ?」
「これです」
す、と出された柄にマルコは目を細める。
「見たことねぇな…で、こっちに向かってんのか?」
「たぶん同じ磁気を辿っているかと」
「…ちっ、面倒だな…」
海賊同士が出会えば何が起こるかは目に見えている。血の気の多い連中ではあるが、しかしいつも殺し合いを求めているわけでもない。
しかも今は休息中。できれば無駄な争いは避けたかった。
「まぁ先に停泊してたのはこっちだし、反対側にも船をつける浜辺はある。好き好んでこんな辺鄙な場所で白ひげに喧嘩売るやつもいねぇだろい。」
向こうが近付く前にこちらが船を動かし衝突を避けるという手もあるが、そこは天下の白ひげ海賊団。名前も知らないような小物に対してこちらが配慮する義理はない。
見張りには警戒を怠らないよう指示し、マルコは報告するため白ひげのもとへ向かった。
その途中浮かぶのは楽しそうに駆けていった末っ子たち。
…面倒なことにならなければいいと、マルコは一人眉を寄せた。