第33章 海を愛する者
「エース!」
ひとしきり泳いで満足したのか、水琴がざばざばと砂浜へあがってきた。
「おー、楽しかったか?」
「うん!」
きらきらした笑顔で返され、思わずくしゃりと水琴の髪を撫でる。
くすぐったそうに笑う様子は何かの小動物のようだ。
言ったら怒るので言わないが。
「ねぇエース。久しぶりにストライカー乗りたい」
「あーそうだな。最近出してねェしなぁ…」
最近遠出の用がないせいか、水琴と二人でストライカーに乗っていなかった気がする。
どうやら水琴は初めて乗った日からストライカーがお気に入りのようで、事あるごとにエースに乗せてと頼んでいたのだった。
「よし、んじゃあ島の周り探検してみっか!」
「やった!ありがとう!」
エースの返事にきゃー!と水琴は両手を振り上げる。そのままへーい!とハイタッチしながら二人はいったん船へ戻った。