第28章 解放と別離と
「さァいくぞ野郎ども!!盛大に相手してやろうじゃねェか!!」
白ひげの合図とともにクルーが動き始める。
まずは洞窟までの経路を確保するために先程の三隊が飛び出していく。
「もらったァァ!!」
先陣を切ったラクヨウがその鉄球を容赦なく亡者へと振りかぶった。
鋭い歯をぎらつかせ、鉄球は一度に幾人もの亡者を食いつぶす。
肉片をまき散らしながら周囲へ散らばった亡者は、しばしの沈黙の後すぐさま不気味に身体を震えさせるとゆっくりと起き上がった。
「…なるほど。不老不死ね」
あんなになってまで生きたいとは思わないけどね、とハルタがうげげと顔を歪める。
その横ではクリエルがバズーカを連発していた。
「どいたどいたァ!!」
アトモスが自慢の水牛の兜で亡者を蹴散らす。
生まれた空間に船員がなだれ込み、少しずつだが確かに洞窟までの道ができていった。
伸びていく道をエース、サッチに挟まれ水琴は駆ける。
その後ろをビスタ、ハルタ、イゾウが固めた。
すぐ傍で聞こえる戦場の音に足が竦みそうになる。
けれど、自分のために危険を冒してくれているみんなのためにも足を止めることは出来なかった。
すぐに洞窟が見えてくる。
「おぉっと、おいでなすった」
洞窟内からひたひたと足音を立てながら現れた影にイゾウが銃口を向ける。
鋭い音を立てて銃弾は脳天へと命中し亡者は次々と倒れる。
「ここは俺たちが確保しとくから。さっさと行きなよ」
ハルタもまた亡者を切り刻みながら水琴たちへと声を掛けた。
「エース、サッチ。水琴を頼んだぞ」
「あァ、任せろ」
三人の隊長とクルーたちを残し水琴たちはさらに先へと進む。