第28章 解放と別離と
「部隊を分けるぞ。まず甲板下で船の防衛にジョズ、クリエル、ナミュールの隊。
ナミュールは海からの侵入の監視も頼むよい」
「心得た」
「次に船から洞窟までの経路確保をブラメンコ、ラクヨウ、アトモスの隊で頼む」
「おう」
「ビスタ、ハルタ、イゾウの隊は洞窟の出入り口確保だ」
「任せてくれ」
「最後に泉までの水琴の護衛だが…」
「マルコ」
次々と割り振っていくマルコにサッチが手を挙げる。
「その役、俺とエースにやらしちゃくれねェか?元々この世界に水琴ちゃんが来る原因になったのは俺達だ。最後まで落とし前つけてェ」
「…分かったよい。エースとサッチ。お前らに任せる。それぞれ五人ずつ選出しとけ」
「おう」
「五人…か?言葉を挟むようで申し訳ないが、亡者の群れ相手に白ひげ海賊団の隊長が二人いるとはいえ十二人ではいささか心もとないと思うが」
かつての自分たちのことを思い出しているのだろう。ローレンが眉を顰めそう進言する。
「洞窟内の広さもよくわからねェのに大人数で突っ込めば同士討ちも在り得る。
いざとなりゃエースの能力で融通が利く」
「なるほど」
「残りは船で待機、周囲に警戒しろい。耐久戦になるからその都度入れ替えでいくぞ。
……最後、水琴」
名前を呼ばれマルコの方を向く。
「もう一度言うが、亡者どもが何度も起き上がる限り耐久戦になる。
俺たちの目的はあくまでお前が泉へたどり着くまで現状を維持すること。
お前がいかに早く泉へたどり着くかが鍵になる。…わかるな?」
「うん」
試すような言い方にはっきり頷く。
「大丈夫だよ」
泉の前で躊躇うことなどしないと、暗に告げる。