第27章 月の民の心の行方
「……じゃあさ、」
もし崖にぶら下がっているのが、私だったら?
「私と、白ひげ海賊団の誰か。…それだったら、マルコはどっちを選ぶ…?」
「………水琴」
地面を見つめる私にマルコの視線が向くのが分かる。
「さっきからなんなんだよい。言いたいことがあるならはっきり言え」
「………」
「そのために俺を選んだんだろうがよい」
かなわないなぁ、と舌を巻く。
「……あのね、忘れちゃうんだって」
「はぁ?」
「元の世界に帰ったら。この世界のこと、みんなのこと、全部忘れちゃうの」
みんなも、私のことを忘れちゃう。そう呟く言葉は微かに震え消えていった。
マルコに、昨夜のことをかいつまんで話す。
「ローレンさんの話だと、泉が異世界に繋がるのは祭典の最終日。
…つまり、明後日。
それまでに、どうするか決めなきゃいけない」
ワノ国で受け取った、同胞の想い。
かつての仲間を解放したいという、ローレンさんの苦痛の叫び。
__手紙を、届けなければならない。
__彼らを、解放しなければならない。
__…それになにより、帰りを待つ人たちがいる。