第27章 月の民の心の行方
「……マルコはさ、もし親父さんと白ひげ海賊団の仲間、どちらか一つしか選べないとしたら、どうする?」
「はぁ?」
「例えばの話だよ。例えば、親父さんと白ひげの誰か…サッチとか?
それぞれが崖から落ちそうになってて、下は海で、落ちたら確実に命はなくて。
…どちらかしか助けられないとしたら、どっちを助ける?」
「そりゃどんな状況だよい」
「だから例えばの話だって!」
言ってみて水琴自身も馬鹿な例えだなと自嘲した。
やっぱなし、と口を開こうとする水琴よりわずかに早くマルコが答える。
「…サッチかよい」
「え?」
「なんだよいその意外そうな顔は」
「いや、だって親父ラブのマルコなら絶対親父さんを選ぶものだと…」
「それ聞く意味あるか?」
「ごめんごめん!…えっと、なんで?」
「……そりゃ、親父が許さねェだろい」
息子を犠牲に自分が助かることなんて。
「俺はそんな親父を誇りに思ってる。もし親父が自分を見捨てて逃げろと言うのなら、何を犠牲にしてもそうするよい」
頂上決戦の一場面を思い出す。
海軍に一人立ち向かう白ひげの言葉に、涙を浮かべながらも撤退しようとしていた彼ら。
結局、彼らはどの世界でも変わらないのだと目を伏せる。