• テキストサイズ

【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第27章 月の民の心の行方





 「……マルコはさ、もし親父さんと白ひげ海賊団の仲間、どちらか一つしか選べないとしたら、どうする?」
 「はぁ?」
 「例えばの話だよ。例えば、親父さんと白ひげの誰か…サッチとか?
 それぞれが崖から落ちそうになってて、下は海で、落ちたら確実に命はなくて。
 …どちらかしか助けられないとしたら、どっちを助ける?」
 「そりゃどんな状況だよい」
 「だから例えばの話だって!」
 
 言ってみて水琴自身も馬鹿な例えだなと自嘲した。
 やっぱなし、と口を開こうとする水琴よりわずかに早くマルコが答える。

 「…サッチかよい」
 「え?」
 「なんだよいその意外そうな顔は」
 「いや、だって親父ラブのマルコなら絶対親父さんを選ぶものだと…」
 「それ聞く意味あるか?」
 「ごめんごめん!…えっと、なんで?」
 「……そりゃ、親父が許さねェだろい」

 息子を犠牲に自分が助かることなんて。

 「俺はそんな親父を誇りに思ってる。もし親父が自分を見捨てて逃げろと言うのなら、何を犠牲にしてもそうするよい」


 頂上決戦の一場面を思い出す。

 海軍に一人立ち向かう白ひげの言葉に、涙を浮かべながらも撤退しようとしていた彼ら。

 結局、彼らはどの世界でも変わらないのだと目を伏せる。


/ 1122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp