第26章 ローレン
「だから、ローレンさんがなぜこの島の伝説と異世界の民を結び付けたのか知りたいんです。
もしかしたら、この島に私が元の世界に帰るヒントがあるかもしれない。
お願いします。どんな小さなことでもいいんです。何か、知りませんか…?」
「___そうか。…そうか」
話し終え、ローレンへ目を向ければ彼は小さく息を吐き椅子にもたれかかった。
その様子はまるで延々と続いていた歩みを止めることをようやく許されたような、
大きな荷物をようやく下ろせたような、そんな安堵の色を含んだものであった。
「そうか。君が、そうなのか……」
「ローレンさん……?」
「いや、失礼。まさかこの年に君と出会うことになるとは。
運命論者ではないが、今夜ばかりは神のシナリオとやらを信じてしまいそうだ」
眼鏡を軽くぬぐいかけなおすと、ローレンは椅子に座り直し姿勢を正す。
「水琴さん、だったね。君の話を信じよう」
「本当ですか?」
「あぁ。疑う必要もない。なぜなら、私は知っているからだ。君と同じ存在を」
「え……」
「さぁ。何から話そうか」
ローレンの瞳が水琴を通し過去を映す。
__ローレン。
__ごめんなさい、こんなことになるなんて、私……
__それでも、私は
「__まずは、私の話を聞いてくれるかい?」