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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第26章 ローレン





 あーだこーだと言い合いながら代わる代わる的を狙う。
 あっという間に弾はなくなり、最後の一発ずつとなった。
 この時点で獲得した景品の数はハルタは三つ、水琴が二つ。
 もう勝ちは無くなったわけだが、せめて引き分けには持ち込みたい。

 「ハルタがミスりますように、ミスりますように…」
 「なにそれ呪い?」
 
 水琴の執念が通じたのか、ハルタの弾は僅かに逸れ地面へ落ちる。

 「やった!」
 「水琴ってたまにすごい子どもっぽいよね」
 「何事にも全力なんだと言っていただきたい」

 さて、最後の的は絶対に外すわけにはいかない。
 どれにしようかと品定めしているとハルタがねぇ、と声を掛けてきた。

 「さっきのあれ落としたら水琴の勝ちにしてあげるよ」

 さっきのとはハルタが一番最初に狙った景品だ。

 「えー、あれ?絶対無理だって」
 「でも上の方狙えばいけそうじゃない?大丈夫いけるいける」
 「えー……」

 でも確かにあの景品は少し気になる。
 それは屋台では珍しく大きなテディベアだった。
 材質もかなりいいもののようで、ほかの景品とは明らかに異なる。
 見るからにこの屋台の目玉商品といえた。

 せっかくなので狙ってみるかと、ハルタに言われたように頭の方を狙う。
 弾はまっすぐ飛んでいき、大きく揺らしたがやはり落とすまでには至らなかった。

 「あーあ」
 「残念、惜しかったね」
 「悔しいなぁ。もう一回やろうかな」
 「お。落とすつもり?」
 「なんか落ちそうなの見たら余計に欲しくなっちゃった!」

 再度お金を支払い銃を構える。一発目は先程同様頭をとらえるがあと少しで落ちない。
 二発目は上を狙いすぎたのか見当違いの方向へ飛んでいってしまった。

 「あぁぁ…」
 「ちょっと貸してみて」

 ハルタのやる気にも火が点いたのか水琴から銃を受け取ると再び構える。
 三発目は見事テディベアを動かしたが、あと少しのところで落ちない。

 
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