第24章 託された想い
「じいさんが待ってたのは、あんたなんだな」
「え……?」
喜助の言葉に顔を上げる。
かさり、と喜助は懐から細長い封筒を取り出した。
「じいさんの遺言だ。この庭のことを知る人間が来たら渡せと、そう言われていた」
きっちりと封がされた分厚い封筒の片隅には達筆な漢字で「橘 銀蔵」と記されている。
「私が受け取って、いいんですか?」
「あんたはこの庭のことを俺から聞く前に知っていた。じいさんの最期の願いだ。受け取ってくれ」
震える手で封筒を受け取り、封を破る。
中には二枚の便箋と、一回り小さい封筒が入っていた。
__名も知らぬ日本の友へ
手紙はその一言から始まっていた。