第23章 懐かしき故郷の影
「ごめん。なんか聞こえた気がしたんだけど…」
「通りで子どもが遊んでるんじゃねェか」
「そうかもね」
戻りかけた水琴の足を突如聞こえてきた歌が止める。
今度ははっきりと聞こえてきた。
__あんたがたどこさ、肥後さ
___肥後どこさ、熊本さ、熊本どこさ、
「___!!」
ばっと振り返り歌の聞こえる方へ駆ける。
「あ、おいっ?!」
後ろで三人の慌てる声が聞こえたが、また聞こえなくなる前に水琴はどうしてもその出所を知りたかった。
だって、あの歌は。
__それを猟師が鉄砲で撃ってさ
あの、歌は。
__煮てさ、焼いてさ、食ってさ
__それを木の葉でちょいと隠せ
ざっ!!と通りへ飛び出す。
そこには誰もいなかった。