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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第23章 懐かしき故郷の影





 「どうだ。ワノ国の料理は楽しめたかい?」
 「うん!すっごく!!」
 「そいつはよかった」

 くすくすと笑うイゾウはやはり色気がある。
 綺麗なのに男前というのがまたにくい。

 「イゾウは友達に会いに来たの?」
 「あァ……顔でも見ていこうかと思ったんだが、どうやら留守みたいでな。どうしたもんかと思ってたとこさ」
 「そっか…残念だね」
 「いねェもんはしょうがねェよ」

 そうだ水琴、とイゾウは目を細める。

 「この近くにうまい甘味屋があるんだが、どうだい?」
 「行く!!」
 「まだ食うのか!」
 「甘いものは別腹!!」

 エースの突っ込みにもめげず水琴は目をキラキラとさせる。

 「もう食えないならお前ら先に帰っててもいいぞ?俺が水琴見とくから」

 にやにやとイゾウは二人を見つめる。
 その腕はちゃっかり水琴へと回されている。

 「食えるに決まってんだろ!」
 「イゾウと二人にしたら水琴が穢れちゃうしね」
 「失礼な奴だな。俺は後腐れのない関係しか結ばねェさ」

 からかわれていると分かっていても、反応してしまうところが年少組。

 ムキになって返す二人にくつくつと笑みをこぼすイゾウを見ていつか殴る…と二人同時に思ったとか。

 「イゾウ!その甘味屋ってどこなの?」

 その雰囲気を全く感じていない水琴はわくわくとイゾウを見上げる。

 「あァ、あっちの通りだ」

 イゾウを加えた一行は彼の案内で甘味屋へと向かう。

 ひっそりと佇むそこは庭園を見ながら味を楽しめるというなかなか趣のある店だった。

 「なんかすごく落ち着く…」

 縁側へ並び和菓子を味わいながら水琴は感嘆の息をつく。
 時折聞こえるししおどしの音が坪庭に心地よく響いた。
 庭の隅には燈篭が置かれ、こびりつく岩苔が年代を感じさせる。

 そこだけを見ればここが異世界とは思えないほど、日本の空気に満ちた縁側で水琴は出された緑茶を飲む。


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