第23章 懐かしき故郷の影
「次の目的地はワノ国だ。あと二三日で着くんじゃねェかな」
「ほんと?!え、でも余所者は近づけないんじゃ…?」
「親父がワノ国のお偉いさんと親しくてな。絶対に暴れないってことを条件に入国を許されてんだ」
「親父さんすごっ!!」
まさかの展開に声が高くなるのが分かる。
だって、食べたいと思っていた矢先にワノ国に行けるなんて思ってなかったんだもの。
それにワノ国は原作でも気になっていた国の一つ。
実際に見ることが出来るなんてついてる!!
「そんなに嬉しいか?」
「そりゃあもう!お寿司、おそば、お刺身、海鮮丼…!
あー何食べよう!楽しみすぎる!!」
教えてくれてありがとうサッチ!と水琴はばたばたと食堂を出ていった。
それをやれやれ、とサッチは見送る。
「……着いたら、ワノ国の調味料でも仕入れとくよう料理長に言っとくか」
***
特に問題もなく船は進み、やってきましたワノ国!
「久しぶりだなァここも」
街中を歩きながらエースが懐かしそうに周りを見渡す。
そう言えばエースはここで笠の作り方を教えてもらってオーズにプレゼントしたんだっけ。
「あれ、イゾウは?」
いつの間にかさっきまで一緒に歩いていた彼の姿が見当たらない。
はぐれてしまったのかと思ったが、そんなに人通りも多くない道でイゾウがはぐれるというのも想像できない。
「イゾウならちょっとぶらついてくるってさ」
「顔馴染みもいるから声掛けに行ったんじゃね?ここあいつの故郷だし」
「え、そうなんだ!」
ハルタとエースの言葉に水琴は驚きを口にする。
名前や雰囲気からそんな感じはしていたがやっぱりワノ国出身だったのか。
せっかくだから色々教えてもらいたかったが、久しぶりの帰郷なら邪魔するのも悪いだろう。
「あとで話聞かせてもらおうっと」
「そうしろ。で、水琴どうする?」
「はい!お寿司食べたい!」
「言うと思った」
わいわいと騒ぎながら道を歩く。
古都を臭わせる町の雰囲気も相まって、気分はまるで修学旅行生だ。
中学生の頃友人とこうして歩いたのを思い出す。あの時もガイドブック片手に色々と回ったものだ。