第23章 懐かしき故郷の影
その反応から、どうやらこの世界に和食という言葉はないらしいということが分かり水琴は肩を落とす。
「やっぱないかぁ、そっか……」
「いや待てよ。話が見えない。ワショクって何だ?」
「あのね、私の故郷のご飯なんだけど、お米が主食で基本的に魚…かな。あとお味噌とか醤油とかそういう調味料をベースに味付けする料理で…」
簡単にサッチに説明する。
コックの血が騒ぐのか、サッチも水琴の説明を熱心に聞いていた。
話している内に水琴の中で和食を食べたい欲求が段々と高まっていく。
「あーやっぱ食べたい!洋食も嫌いじゃないけど、やっぱり和食が恋しい!!」
「なるほどなァ。水琴ちゃんが言ってるのはワノ国の料理だな」
「……え?」
説明を聞き終えたサッチから漏れた言葉に水琴は顔を上げる。
「ワノ国料理?」
「そ。全部が全部一緒じゃねェかもしれねェが、聞いた感じだと一番似てるのはそれだな」
「ワノ国……」
原作にはまだ登場していないけど、ワノ国って昔の日本みたいなイメージなんだっけ。
もしかしたらそこに行けば和食が食べられるかもしれない……!
「サッチ!ワノ国行きたい!」
はいはい!と勢いよく手を上げる水琴にサッチは苦笑し肩を竦めた。
「そんな簡単に行けねェよ。あそこは世界政府にも加盟していない鎖国国家だ。海賊はおろか海軍すら立ち入らせない徹底ぶり!余所者が近づいたら即行海に沈められるな」
「え、そうなんだ……」
どこかでそんな話を薄ら聞いたことがあるような気もする。
やはりそう簡単にはいかないか、と水琴は溜息をついた。
「……と言いたいところなんだけどな」
水琴ちゃんはついてんな、とサッチはにんまりと笑う。