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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第2章 始まり


 

 ほれ、と手渡されたジョッキにはなみなみと注がれたお酒。
 未成年ということもあり飲んだことないので一瞬ためらったが、ここで断れる雰囲気でもない。

 とりあえず一口…とジョッキを傾ける。

 「……おいしい!」
 「お、いける口だな!」

 思ったよりずっと飲みやすい。
 景気良くジョッキを傾ける水琴に周囲も喜び次々と乾杯を仕掛けてきた。
 しかしさすが海賊、遠慮なくぶつけるものだから中身が零れる、零れる!

 「水琴ちゃーん!」

 と、輪の中からサッチが飛び出してきた。

 「サッチさん!」 
 「もう、全然こっちに気付いてくれねェんだから。サッチ悲しい!」
 「す、すみません…」
 「おい、水琴引いてるぞ」
 
 横から入るエースの突っ込みにもめげず、それはそうと、とサッチは笑みを浮かべる。

 「部屋は気に入ってくれたかい?」
 「え、あれサッチさんが用意してくれたんですか?」

 そう言えば白ひげへ挨拶に行く途中用があると別れたが、もしかして準備しに行ってくれてたんだろうか。

 「おうよ!これから長い滞在になるかもしれないんだからさ。気持ちよく過ごしてほしいだろ?」
 「サッチさん…すごく素敵な部屋でした!ありがとうございます!」

 サッチの心遣いが素直に嬉しい。
 
 「どういたしまして。お礼はキス一回でいいよーん」
 「だからそういうの引くからやめろって!」

 サッチの冗談にエースが切れる。庇ってくれるのは嬉しいけど、それ位の冗談は私だって分かる。


 「……あれ」

 一通り挨拶を済ませ、落ち着いたところで隊長の輪の中をぐるりと見渡し水琴は首を傾げた。

 そういえば、あの人がいない。

 こんな時真っ先にやってくるだろうと予測していた人物。 白ひげ海賊団一番隊隊長にして、この船の長男。


 不死鳥のマルコ。


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