第22章 小さな家族
「きゃぁぁああああ!!!!」
船内に、突如悲鳴が響き渡った。
「水琴……?!」
声の主を瞬時に思い浮かべ、エースは駆け出す。
「まさか、人質に…?!」
「おいおい、まじかよ…!」
近くに居たサッチやイゾウもすぐにエースの後を追った。
「エース!水琴は俺の部屋だ!」
「分かった!」
背後から聞こえたマルコの声にエースは半開きのドアを思い切り蹴り開ける。
「水琴っ!!」
わずかに炎を拳に纏わせたエースが見たのは、小さな生き物を抱きかかえる水琴の姿だった。
「何この子、ふかふか!可愛いーー!!」
「………は?」
「あれエース、みんなも。どうしたの?」
密航者見つかった?ときょとんと水琴は入ってきたエース達を見つめる。
「いや…それよか水琴ちゃん。そいつは?」
「あ、この子?さっき部屋に入って来て。可愛いよね!」
水琴の腕の中で小さな尻尾を振っているのは、真っ白な子犬。
耳は折れ曲がり、その口元は特徴的な髭が覆っている。
「「「………犬ゥ~~?!?!」」」
どこかで聞いたような、その場に居合わせた全員の合唱が響いた。