第22章 小さな家族
それからしばらくは何事もなく毎日が過ぎた。
最初のうちは気にしていた水琴も段々と意識が薄れ、忘れかけていた頃。
それは起こった。
いつものように水琴はマルコの仕事の手伝いの為、頼まれた資料を捜しに資料室へと向かった。
マルコから預かった鍵で扉を開け、中に入る。
「……えっ?!」
中を見て、水琴は思わず叫んだ。
昨日まで綺麗に整頓されていたはずの本は本棚から飛び出しぐちゃぐちゃ。
まとめられていたはずの書類は床に散らばりひどいものだ。
「何これ!!」
あまりの惨状に水琴は怒りを覚え書類を拾う。
「全く、誰が一体こんなこと…」
__あれ?
書類を拾う手がぴたりと止まる。
確か、昨日最後に資料室を使ったのはマルコだ。
一緒に資料を取りに行ったのだから覚えている。
その後は誰も使っていないはず。
そもそも書庫ならともかく、今までの書類などがまとめられたこの部屋に入る者などごく少数だ。
まさかマルコがこんな状態を放っておくわけもない。
「……誰が、やったの……?」