第20章 赤髪
「どんな船かな…」
窓から外を覗く。遠くに大きな船が見えてきた。
「え……」
はためく海賊旗が目に入り、水琴はぽかんと口を開ける。
だって…あの三本傷のジョリーロジャーは……
「……シャンクスの、船?」
まじまじと見直す。間違いない。
あの眼窩に走る三本傷。
そして交差する剣。
赤髪のシャンクスの船、レッドフォース号だ。
まさかの四皇の登場に水琴のテンションは上がる。
「いつか見てみたいと思ってたけどまさかモビーに来るなんて!
うわーすごい!かっこいい!!」
きゃーきゃーと黄色い声を上げるが、ぴたりと黙る。
そう言えば、甲板には来るなって言ってたっけ…
………
「…ちょっと覗くだけなら、いいよね?」
誰にともなく言い訳をする。
せっかくの機会。どうせだったら少しでも良いから赤髪のクルーを見てみたい。
陰からちらっと覗くだけ!うん!
既にだいぶ近づいている船を確認すると、水琴は部屋を出て行った。
***
「よォ白ひげ。久しぶりだな」
「ハナッタレが。うまい酒は持って来たんだろうな?」
「あァ極上もんだ」
ずしんとかなりの大きさの酒樽を目の前に差し出す。それを一瞥すると白ひげは近くの部下に盃を用意するよう告げた。
モビーディック号の甲板。
円状に段となっているいつもの場所には白ひげクルーがずらりと陣取っていた。
その中心に白ひげと赤髪が対峙している。
「…おい赤髪。いい加減その垂れ流してる覇気止めやがれよい」
クルーが倒れんだろうが。とマルコが静かに忠告する。
甲板には赤髪から漏れる覇気に当てられて何人か白ひげクルーが倒れている。
もちろん隊長クラスはけろりとしているが。
「失礼。敵船の為少々威嚇をだな。それよりマルコ、どうだ?そろそろうちの船に乗る気は」
「お前はしつこいんだよい。誰が乗るか」
「相変わらずつれねェなァ」
いつものこととシャンクスは肩をすくめる。
運ばれてきた盃を交わし、しばしシャンクスは白ひげと酒を楽しむ。