第19章 二つの正義
もし「水琴」と名乗れば、確実にスモーカーにばれるだろう。
彼が異世界の民のことまで知っているかは謎だが、懸賞金が掛けられていることは把握していると思う。
「私…私は……」
水琴の言葉を黙って待っていたスモーカーはかっと目を見開いた。
次の瞬間水琴の身体を抱き横へ跳ぶ。
「はっ…?!」
さっきまで水琴達が立っていた場所に銃弾の嵐が襲う。
「舐めた真似してくれたじゃねェか海軍…!」
「お前が頭だな。“蛇眼のギャリー”」
その名の通り蛇のような目を持った男がぎろりとスモーカーを睨みつけていた。
「仕事の邪魔しやがって…俺のテリトリーに入ったこと後悔しやがれ」
「後悔するのはてめェの方だ。今までの所業、監獄で償え」
ギャリーとスモーカーがゆっくりと対峙する。
「ホワイトブロー!」
先に動いたのはスモーカーだ。
両腕から勢いよく伸びた煙がギャリーを襲う。
それをかわしたギャリーが抜き放った刀でスモーカーを両断する。
しかし刀は煙となったスモーカーの身体をすり抜けた。
「ロギア系か…」
「てめぇの攻撃は効かねェ」
「すご……」
目の前で繰り広げられる攻防に息を呑む。
さすが新世界。戦闘のレベルが桁違いだ。
「捕まえたぞ女ァ!」
「っきゃあ!!」