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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第19章 二つの正義






 「どうしよう……」





 エースと共に酒場を抜け出したはずの水琴。
 なぜか一人で通りにポツンと佇んでいた。



 酒場を出たまではよかったが、なぜかそこにはたくさんの人がいた。
 うっかりエースの手を放してしまったのが運のつき。
 あっという間に人込みに流され、気が付けば水琴は一人だった。



 大通りから逸れてしまったのか。辺りはしんと静まり返っている。
 静けさが逆に不気味で、水琴はぶるりと身体を震わせた。

 「と、とりあえずさっきの通りに…」

 エースは水琴のビブルカードを持っている。
 きっと探してくれているだろう、と水琴は一歩足を踏み出す。

 「おぉっと!どこ行く気だいお嬢ちゃん…?」

 その行く手を遮るように複数の影が飛び出した。

 見るからに悪そうな大柄の男たちがにやにやと水琴を見下ろしている。

 「こんな所でお嬢ちゃん一人で何やってんだ」
 「うっかりすると、俺たちみたいな人攫いに攫われちまうぜ…?」

 ギャッハッハ!と下品な笑い声を上げる男たちに水琴は眉をひそめ距離を取った。

 「まさかこんな簡単に成功するとはな。今日はついてる」
 「さっきの騒ぎ、まさかあなた達の仕業…?」
 「そのまさかだ。この島は俺たちのテリトリーなんでな」
 「さぁ、大人しく着いてきな」

 逃げようと踵を返すものの背後から現れた男にぐい、と腕を乱暴に掴まれる。

 「やめて…!」
 「おいおい、抵抗すんなよ」
 「商品には傷つけたくねェんだ、なるべくな」

 商品という言葉に蒼褪め、なけなしの抵抗を試みたが力の差は歴然だった。それでも必死に抵抗を続ける。

 「いやっ!放して!!」
 「おい、いい加減に…」
 「てめェら、そんな所で何やってる」


 低い声が苛立つ男の声を遮った。


 聞き覚えのある声に水琴は顔を上げる。



 「…スモーカー大佐……?」


 東の海にいるはずの彼が何故ここに?



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