第19章 二つの正義
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「ふぅー!食った食った」
「エース、ご飯ついてる」
「ん、悪ィ」
「お前、食事中に寝る癖どうにかしろよ」
大体の用を済ませ、昼食に入った酒場。
周囲では相変わらず喧騒が絶えないが、水琴達は気にすることもなく食事を終えた。
たまに飛んでくる皿やナイフは隣のエースやイゾウが叩き落してくれるので最初の内はびくびくしていた水琴もすっかりリラックスしている。
「そろそろ帰る?暴れられないならつまんないしさー」
向かいに座るハルタがつまらなそうに口を尖らせる。
可愛い顔して結構中身は好戦的だ。
「長居する場所でもあるまい。用がないならモビーへ戻るか」
ハルタの隣で上品に口を拭ったビスタがそう提案する。
特に異議もなく、全員が席を立とうとした時。
酒場の入口から何かが投げ込まれた。
それは勢いよく煙を噴き出し、あっという間に視界は白く塗り潰される。
「な、何これ?!」
「目くらましか?!」
「喧嘩だー!」
「やっちまえ!!」
どうやら更に諍いが悪化したらしい。先程よりも激しい物音があちこちから聞こえてくる。
中には銃声も交じっている。かなり激しい。
「ちっ、めんどくせェな…!」
「おいエース。間違っても炎出すなよ!この砂埃じゃ爆発しちまう」
いわゆる粉塵爆発というやつだ。イゾウの声に分かってるよ!とエースが怒鳴り水琴の手を握る。
「おい水琴、離れんなよ」
「う、うん…」
「モビーに戻るぞ!お前ら走れ!」
イゾウの言葉を合図に一斉に駆けだす。
エースに手を引っ張られ、水琴も酒場を飛び出した。