第19章 二つの正義
ここは新世界のとある海域。
秋らしい涼しげな風を浴び、水琴は甲板で大きく伸びをした。
「よォ、おはよう水琴」
「おはよー。早いね!」
朝はまだ少し寒く、カーディガンを羽織った水琴はいつものようにニュース・クーへと手を伸ばした。
「いつもありがと」
首に下がったカバンへコインを入れる。
日課となった新聞を開き、今日の記事に目を通していく。
「物騒な記事多いなぁ…ん?」
ぱらり、と新聞の隙間から何かが落ちた。
広告か、と水琴はそれを拾い上げる。
「………は」
内容を見た水琴はぴしりと固まる。
「はぁぁぁあああああ?!?!」
早朝のモビーディックに、水琴の絶叫が響き渡った。