第18章 血と絆
「子どもの体力ってすげェのな…」
遊び疲れてすやすやと眠る子ども達の傍でぐったりと床へ寝転ぶエース。
その横では子どもにタオルを掛けながら水琴がくすくすと笑っていた。
「遊ぶことに関しては全力だからね。うちの子たちもそうだったし」
「おれはルフィとは年も近かったからあんま感じたことねェな…水琴は年離れてたのか?」
「うん。というか、大体いつも小さな子はいたからそれでかな」
その言葉に違和感を覚えエースは身体を起こし横の水琴に目をやる。
水琴は眠る子どもを愛おしそうに見つめたまま、口を開いた。
「私の家、施設だったから。
色々な事情で親と一緒に過ごせなくなった子たちが、年に二、三回は預けられるんだ」
静かに水琴は語る。
それはつまり。
水琴もそういう子どもたちのうちの一人だったということか。
「__お前の、親は」
「さぁ」
あっさりと水琴は首を傾げる。
「私は生まれたばかりの頃教会の入り口に置かれてたんだって。それをシスターが拾って、育ててくれたの」
だから名前も顔も知らないんだ、と水琴は何でもないように言う。
「…悪ィ」
「エースが謝る必要はないよ。全然気にしてないし」
にぱ、と笑う水琴の言葉に嘘は見られない。
しかし、だからこそエースには分からなかった。